キチェ県における日本の対グアテマラ支援活動の視察

令和元年6月17日
 6月4日から6日にかけて,古谷大使は,キチェ県におけるJICA海外協力隊,JICA技術協力プロジェクト,日本NGO連携無償資金協力プロジェクトの活動現場を視察し,日本の対グアテマラ支援の最前線で奮闘する担当者を激励するとともに,各プロジェクトを推進する現地コミュニティ代表者との意見交換を行いました。今回視察した内容は以下のとおりです。
 

1 JICA海外協力隊の活動現場

(1)チニケ市小学校(小学校教育)
 教育レベルの向上を目指す人材を集め算数部会を立ち上げるなど,チニケ市教員の能力向上,算数的知識の底上げのための活動を行っています。
 
教員の能力向上のための研修の様子 対象小学校を所管する教育事務所長,教員の皆さん,隊員と
(2)カリタス・キチェ(コミュニティ開発)
 「各プロジェクトを通じたコミュニティ住民の生活改善」を目標に,主に農業・健康・市民参加の3つの観点から,コミュニティ住民の積極的な研修参加,普及員同士の交流強化,農家の知識普及等のための活動を行っています。
 
普及員による活動内容の紹介 古谷大使からの激励の言葉
(3)スポーツ自治連盟(野球)
 隊員の活動により,2017年1月時点で約30名だった登録野球選手数が,同年12月までに4倍の約120名にまで増加するなど,当地における野球を通じたスポーツ振興に貢献しています。
 
隊員による野球指導の様子 笑顔で野球に打ち込む少年たち
(4)サン・バルトロメ・ホコテナンゴ市診療所(助産師)
 自宅での出産率が80%を越える同市唯一の診療所において,伝統的産婆たちへの支援や,地域住民を対象とした青少年教育,保健指導などを実施しています。
 
隊員による活動内容の紹介 隊員の努力により整理されたカルテ棚
(5)チニケ市診療所(助産師)
 妊産婦支援者の知識と技術向上および若年妊娠率の減少を目標に,伝統的産婆への研修や近隣学校児童・生徒への性教育活動を実施しています。
 
性教育,家族計画についてのロール・プレイング 研修に参加した近隣学校の生徒たち
(6)ホヤバフ市保健所(助産師)
 周産期の妊産婦や新生児,乳幼児および5歳児未満幼児の死亡を予防するために地域住民のセルフケア能力の向上を目指し,ホヤバフ市各所に位置する保健ポストと連携しつつ,伝統的産婆への知識伝達や積極的な啓発活動を展開しています。
 
保健所関係者からの説明を受ける古谷大使 隊員手作りの教材を用いた説明
(7)ホヤバフ市教育事務所(栄養士)
 管轄区域内の栄養実態調査を通じ,学校における軽食(Refacción)内容改善のためのレシピ考案や,児童やその保護者に対する栄養指導を実施しています。
 
教育事務所長と熱心に意見交換を行う隊員 教育事務所の関係者,隊員と古谷大使

2 JICA技術協力プロジェクト

 2016年6月から2020年6月にかけて,キチェ保健管区10市(チチェ,チニケ,パッツィテ,サン・ペドロ・ホコピラス,ホヤバフ,サン・ミゲル・ウスパンタン,サカプラス,サン・バルトロメ・ホコテナンゴ,カニヤ,チカマン,人ロ341,298人)およびイシル保健管区2市(チャフル,ネバフ,人ロ149,692人)を対象とし,「妊産婦とこどもの健康・栄養改善プロジェクト」が実施されています。妊産婦と乳幼児に対する母子保健・栄養サービスの運営能力の向上を通じた健康・栄養状態の改善を目標とする同プロジェクトの実施サイトのひとつであるチチェ市を訪問し,プロジェクトを主導する専門家とともにチチェ市診療センターの視察を行いました。  
 
日本での研修経験を語る診療センター職員 同プロジェクトの一環として供与された超音波診断器

3 日本NGO連携無償資金協力

 日本の国際協力NGOが,開発途上国・地域で実施する経済・社会開発事業に外務省が必要な資金を供与する事業である日本NGO連携無償資金協力案件として,(特活)AMDA社会開発機構が昨年度に引き続き実施する「コミュニティ母子保健向上プロジェクト(第2期)の視察を行いました。サン・バルトロメ・ホコテナンゴ市を対象とする本事業では,保健所の施設拡充,伝統的産婆の研修,保健員の研修,保健所・市役所・保健医員・伝統的産婆の連携強化を4つの柱とする活動が行われています。  
本プロジェクト資金を活用し建設中の研修棟 本プロジェクト資金で購入した医療器具
 このように,キチェ県各地で行われている地道な支援活動が,グアテマラの社会・経済開発に焦点を当てた持続可能な成長の促進に貢献し続けていくことを期待しています。  
日本の支援に感謝を述べる現地コミュニティの女性たち 対象小学校のこどもたちと古谷大使