グアテマラ初の超小型人工衛星「ケツァル1」の宇宙への放出

令和2年4月29日
 4月28日,私立バジェ大学が開発したグアテマラ初の超小型人工衛星ケツァル1が,国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」から,宇宙へ向け成功裏に放出されました。
 
 同人工衛星は,2017年,宇宙航空研究開発機構(JAXA)および 国連宇宙部(UNOOSA)の連携協力による第2回Cube SATプロジェクトに選出され,軌道への放出へ向け,3月6日,JAXAの支援によりケネディ宇宙センターから国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」へ打ち上げられていました。
 
★ケツァル1放出の瞬間 「きぼう」から放出されたケツァル1

 バジェ大学では,JAXA筑波宇宙センターを介して国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」からの映像を受信し,モレノ学長や山元駐グアテマラ日本国大使,キニョネス・グアテマラ市長,アジェルディ・ケツァル1開発チーム長および開発チーム・メンバー,大学関係者,プレス関係者らがケツァル1放出のタイミングを見守りました。
 
油井JAXA宇宙飛行士 山元大使の祝辞メッセージ
 
 放出に先立ち,ケツァル1開発に携わった学生や研究者らがプロジェクトの意義や経験,開発秘話を語ったほか,JAXAの油井亀美也宇宙飛行士やキニョネス・グアテマラ市長などからの祝意メッセージが披露されました。
 山元大使は,開発チームの努力を労い,JAXAや国連宇宙部,協力者への謝意を伝えるとともに,新型コロナウイルス感染症により日常生活が制約される中,ケツァル1の成功はグアテマラ国民の希望であり,科学技術分野での輝かしい未来をもたらすものであると述べました。
 
放出の合図を発声するモレノ学長 放出直後,拍手で沸く会場
 
 モレノ・バジェ大学学長による「GO」の発声からカウントダウンを経て,ケツァル1が宇宙の軌道へ向けて放出されると,見守っていた会場から歓声と大きな拍手が起こり,感動とともにグアテマラの科学分野における新たな一歩の喜びが共有されました。
 
 放出後は,ジャマテイ・グアテマラ大統領,山川JAXA理事長,ピッポ国連宇宙部長からの祝意がビデオで届けられました。
 
放出の成功を喜ぶ開発チーム・メンバー ジャマテイ大統領の祝意も届けられた
 
 今後,バジェ大学では,ケツァル1に搭載されたカメラから収集される情報をアティトラン湖の水質調査に活用し,グアテマラの環境問題改善等に役立てる予定です。
 
 バジェ大学及び開発チームの皆さま,ケツァル1の軌道への放出,おめでとうございます。グアテマラ初の人工衛星プロジェクトを支援できることは,日本にとって大きな喜びであり,引き続き科学技術分野において積極的に連携していきたいと望んでいます。また,ケツァル1の成功が日・グアテマラの友好関係の新たな象徴となることを願っています。
 
今後の活動計画を説明する開発チーム長 インタビューに応える山元大使