2025年大使年頭挨拶

令和7年1月7日

―外交関係樹立90周年を迎えるにあたって-

2025年の年頭に際して、ご挨拶申し上げます。

(普遍的価値を共有するパートナーとの90年の絆)
日本とグアテマラは今から90年前の1935年2月に外交関係を樹立しました。そして本年2025年は両国の絆が90周年を迎える重要な年となります。日グアテマラ両国は、それぞれ千年を超える歴史と伝統文化、そして豊かな自然を有し、更には自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的な価値観を共有する国際社会のパートナーです。これらの普遍的価値は、人類が何世紀にもわたる努力と尊い犠牲の上に築き上げてきたかけがえのないものです。今世界は、地球温暖化、パンデミックだけでなく、ロシアによるウクライナ侵攻、困難な中東情勢等の様々な課題に直面していますが、そうした中でこれらの普遍的価値は、権威主義や偽情報など様々な脅威にさらされています。私たちは今こそ、こうした普遍的価値を守り強化する必要があります。理念を共有し、志を同じくする国同士の協力が不可欠なのです。
 日本は、これまでも国際社会におけるパートナーであるグアテマラと二国間そして国際場裏において緊密な協力を行ってきました。この90周年の機会にこの協力の絆を更に強化していきたいと考えています。

(開発協力)
グアテマラは、保健医療、教育、格差等の様々な課題に直面していますが、日本はこれまで数十年にわたり、グアテマラに対して水、保健、インフラ、安全保障、エネルギー、移民など様々な分野においてJICAを中心に様々な開発支援を行ってきました。また、今現在25人以上の日本人ボランティアが国内で活動してくれています。

過去には日本もグアテマラ同様、発展のための試練を乗り越えてきました。特に第二次世界大戦により日本全土は壊滅的な被害を受けましたが、日本が戦後の瓦礫の中から立ち上がることができたのは、日本国民の努力だけでなく国際社会の支援があったおかげです。そして、今度は日本が国際社会に恩返しをする番だと考えています。私たちは、慈善行為としてではなく、自らこの発展への道を通ってきた者の連帯の証として、グアテマラをはじめとした発展途上国の開発を支援に積極的に取り組んでいます。

(経済関係)
また、日本とグアテマラ間では、経済関係も重要な柱です。例えば、日本の製品、特にハイテク機器、カメラ、自動車はグアテマラの人々から絶大な信頼を勝ち得ています。そして、日本は、世界的に評価の高いグアテマラコーヒーの世界第2位の輸入国となっています。こうした二国間の経済関係も更に強化したいと考えています。

投資面では、丸紅との合弁事業であるコダカ・グループや矢崎総業といった日本資本がグアテマラに進出しています。今日、「ニアショアリング」の潮流によりグアテマラにおける製造業の可能性が広がっています。より多くの日本企業がグアテマラへの投資を続け、多くの雇用を創出し、グアテマラの発展に寄与することを期待します。

また、グアテマラは、日本と同様、その豊かな自然と驚くべき歴史遺産という観光資源にあふれています。観光を促進し、そして更に多くの投資を呼び込むためには、治安改善と法的安定性の向上が極めて重要です。日本はそうした分野でも貢献が可能だと考えています。

(90周年と万博)
日本・グアテマラ外交関係樹立90周年となる本年は、両国間の交流を促進する絶好の機会です。特に4月から10月にかけて大阪で開催される2025年万博は、グアテマラ人と日本人が互いをよりよく知るための格好の舞台となります。この機会に、グアテマラの要人(大統領)の訪日が実現することを期待します。

そして今年は、90周年記念事業として、様々な事業が計画されています。1月には、第一回日グアテマラ政府間政策協議がグアテマラで開催されます。更に2月には、19世紀と20世紀の異なる時代にグアテマラの風景を映した2人の日本人写真家、屋須弘平氏と羽幹昌弘氏の写真展が始まります。

この他にも、経済、観光、文化、学術、教育等様々な分野でイベントや交流事業が計画されています。当館のホームページやSNSでも随時お知らせしていく予定ですので、ご期待ください。

在グアテマラ日本大使館としては、本年、外交関係樹立90周年の機会を最大限に活用して、日本とグアテマラの二国間関係を発展させるべく努力してまいります。

令和7年1月7日
駐グアテマラ共和国特命全権大使 
桑名良輔